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そんなあなたのこんなおはなし Vol.6

2008
01
30
ring
これは『そんなあなたのこんなおはなし』の続きです。

まだお読みになっていない方は先にこちらををお読みください。

そんなあなたのこんなおはなし Vol.1  Vol.2  Vol.3  Vol.4  Vol.5


************


「募金?」
Aマネージャーが目を真ん丸くさせた。


出張先から立ち寄ったAマネージャーがワタシを呼び止めて、会議室で話をすることになった。
Aマネージャーはスケジュールが詰まっているので、だらだらと話を続けることはできない。
時間が限られている。一種のプレゼンテーション。簡潔にわかりやすく、そして熱意を持って。


「そうです。社内で募金を呼びかけるんです。」

ワタシはいつもAマネージャーに話すように淡々と続ける。

「メリットは3つ。1つ目は募金で集まったお金だから返す必要はありません。そしてBちゃんの借金が膨らむことはありません。2つ目。会社側としてもBちゃんの貸付金額が少しでも減らせます。それから、3つ目は・・・」


「ちょっと待ってくれ。個人的な問題で募金をお願いするというのはちょっと。。」
Aマネージャーがあわてた顔して、ワタシの話をさえぎる。


・・・やっぱしダメか。


ワタシは昨日テレビを見て、募金を思いついた。
しかし、現実として一社員のために会社は何もしてくれないことなんて重々承知。Aマネージャーもきっと反対するだろうと予測はしていた。


でも、Aマネージャーは「彼女を助けてやりたい」とワタシに言ったのだ。
口だけなら誰でも簡単に「助けてあげたい」っていえるだろう。
でも、実際に行動に移すとなると誰もがたじろぐ。
それに、Bちゃんのために何かをしたって、自分の給与が増えるわけじゃないし。

反対されたらワタシは「そうですか」って言って引き下がるつもりだった。
ワタシのコミュニケーション能力だと到底Aマネージャーにかなわない。
Aマネージャーの反対を覆すような言葉も用意していない。
でも、ここで負けてしまったら、誰が彼女を支えてやれるのか。


そしたら、急にワタシの口から誰かが乗り移ったみたいに言葉が出てきた。


「じゃあ、いったいどうしろっていうんですか。このままだとBちゃんはどこかで借金を作っても彼の治療を受けさせるでしょう。
でも、彼氏は医者からすでに手遅れと言われている。おそらくBちゃんが彼氏を失ったら、この店をやめてしまうでしょう。失意のあまりに。
誰も自分を、彼を助けてくれなかったと恨むかもしれない。

そして、彼女に残ったものは絶望と借金だけなんて悲しすぎませんか。」


・・・・ちょっと、ちょっと誰がしゃべってるの!?


「話を続けさせてください。3つ目のメリット。
ここで、もし、皆が協力して募金してくれたらBちゃんはきっとこの店にもどってきます。
彼氏を失ってしばらくは悲しみにくれるでしょう。

でも、ある日、ふと自分を支えてくれる人が回りにたくさんいることに気づく。
あんなに大変なときに自分を応援してくれた人がいた、と。
それもひとり、ふたりではなくてたくさん。
それに気づいたときに彼女に生きる希望が出てくる。
自分を支えてくれた人に応えようと感謝の気持ちをこめて働くでしょう。Bちゃんはそういう人だと思います。

だから、募金の金額なんてこの際関係ないんです。
Bちゃんの希望額が集まらないかもしれない。
Bちゃんに今必要なのは、皆が彼女を応援しているよ、という気持ち。それだけなんです。
大丈夫です。きっと皆賛同してくれます。
彼女は優秀なコックとして社内でも有名ですから。
私たちのレストランのモットーはお客様をHAPPYを提供することでしょう?
それに自分が幸せじゃないのにお客様を幸せにできますか!?」


Aマネージャーはワタシの勢いにおされたのかびっくりして声も出ない様子。
いや、一番驚いてるのはワタシなんだけど。
いったい何が起こったの?



(つづく)

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