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想いが伝わる日(9)

2008
04
09
ring
それから母はどうやって日々を過ごしていたんだろう。
体重がもう少し増加してから決めましょうと医者に言われたので、骨髄移植を受けるかどうかまだきめてないと父から聞いた。

仕事中も頭から離れなくて、ミスを連発。
周りのスタッフやお客様には本当に迷惑かけた。
大きなクレームにつながらなかっただけよかったけど。


ワタシはストレスを感じると食欲がめっきり減ってしまう。
仕事の合間の昼休憩も、お茶で食べ物を流し込んで終わり。
明日は仕事が休みなので見舞いに行く予定なのだけど、正直見ているのが辛い。
このままこんな精神状態だと、母とともに共倒れしてしまいそう。


昼ごはんの後は、たいてい近くの大きな書店へ行く。
ファッション誌とか芸能誌とかを見て、流行をチェックしたり、アクセサリーのデザインのイメージを膨らましたりしている。
それが、もう習慣みたいになってしまって、特に見る気もないのに自分の近くにあった雑誌を手にしてパラパラとめくった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?




人間て、信じられないものを見たとき、何回も見ようとするよね。
ワタシも同じで、そのページを何回も何回も繰り返し穴があくんじゃないっていうくらい凝視した。



「嘘ぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!!



店内に響き渡るくらい叫んでしまった。
自分でも信じられないくらい大きな声で。
他人に見られる恥ずかしさよりも、今自分が見ている写真が信じられなくってパニック状態になった。



その写真はコンサートの様子を写したものなんだけど、そのメンバーの一人の腕に巻きついているものは、なんとワタシが作ったあのブレスだったんだ。




プロフィール欄を確認する。
間違いない、名前も誕生日もワタシが鑑定したものと同じだ。


2回目にあの例のお客様が来店した後も、「激しい動き」でまた切れて、再び同じものを注文される可能性があるんじゃないかと思ったのでそのオーダー用紙をずっと保管していた。
案の定、結局ワタシは同じものを3個も作ったんだ。
だから間違えるはずがない。


・・・・・ってか、「激しい動き」ってダンスだったんですかい!



その雑誌を即効買って、翌日病院へ持って行った。
母はワタシがとても興奮しているので、びっくりしていた。
母の横に座り、その雑誌を開く。
写真を指差して、これ、ワタシが作ったんよ!!と言うと、母は、


「え”-、何、ホンマに?すごいやん、アンタ!!」

「そうやねん、すごくない?めちゃうれしいねん!わかる?」

「すごいすごい!!もう一回見せて!ひゃ~、感激やわぁ~!」


静かな病室で異様に盛り上がる母とワタシ。
留学するまでずっと犬猿の仲だったから、こんなふうにきゃいきゃい言いながら話をしたのは、初めてかもしれない。


・・・それで、誰なの、この人?

・・・前に言ったやん、CD出す友人のためにブレス買ってくれたお客さん。この人はそのお客さんの友人。

・・・何?CDってもう出てるの?

・・・知らんけど、FMとかやったら曲かかってるんちがう?

・・・アンタ、若いくせに流行りの歌とか知らんの?

・・・悪いな、ワタシはクラシックしか聞かないもん。

・・・じゃあ、今日からラジオ、毎日チェックしとくわ。

・・・お母さん、結構ミーハーやってんね。

・・・何いってんの。この人、応援したらんと。ホントにラジオで曲が流れたらうれしいやんか。




*******************************

その日から、母の行動が変わる。


若い世代向けのラジオを聞いたり、TV欄を毎日欠かさず見て、”その人”が出てないかをチェックするようになった。
その人が出演する番組があると、母は父親にビデオを撮るように頼んだり、直接ワタシの携帯に電話してきてくれたりした。
母自身も今までテレビを見たりしなかったんだけど、自分から歌番組とかドラマとかをすすんで見るようになって、ワタシが見舞いに行くと、「なんとかのドラマにでているホニャララくんはかっこいい」とか言い出すようになった。
今までぜんぜん芸能人になど興味なかったくせに(笑)



母はもともとお世話好きだから、入院してても誰かの役に立ちたかったんだね。
TV番組を娘のためにチェックするというささいなことでも、生きがいになることもあるんだ。


そして、母は自分の意思で、今までどおりの治療を続けることを選んだ。
なかなか体重が増えない母に、骨髄移植は体に負担が大きすぎるからという理由で。


叔父が薦めてくれた健康食品を母はいたく気に入って毎日取るようになった。
これなら液体なのでのどにひっかかったりすることはない。
人に薦められたから・・・でなくて、自分から飲んでみよう!という意思は大事だよね。




母も変わったけど、ワタシも変わった。
有線にリクエストしてみたり、カラオケにも行った。
へたくそでも楽しかったらいいかって思えた。
ヘンに周りの目を気にしすぎてる自分に気づけたし。
人の声もすばらしいなって思えるようになった。



いままでシャットダウンしていたものが一気に開けた。
自分を世間から閉じ込めていたものは実は自分自身だったんだ。




*********************

数ヵ月後、奇跡的にガンが小さくなり、母は無事退院。
現在でもその健康食品のおかげで退院できたって言ってる。



ワタシはその健康食品よりも、”その人”がワタシと母に与えてくれた喜びが、ガンを小さくする最大の要因じゃないかと今でも信じてる。
楽しいこととはかけ離れた静かな病室で、死と向き合わなければいけない暗い現実に差した光。
それはかすかでもぼんやりしたものでなく、強くまぶしい光だった。



あのお客様もうれしいだろうな。自分の想いがデビューの成功という目に見える形として現れて。
まったく何の関係もなかったワタシの母までも幸せにしてくれた。
それも、ガンの克服という奇跡をおこして。
そしてワタシ自身も救われた。





・・・・・・すごくすごくいい夢を見させてもらいました。




(終わり)


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Comment

wax

こんにちは!
ks02です。l

「嘘ぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!!!

凄ーーーーーーーーい。

お母さんとキャピキャピ楽しそうに話されているのが脳裏に浮かび上がりましたよ。

お母さんも元気になられて良かったですね。

2008/04/09 (Wed) 10:59 | ks02 #z6XohUmo | URL | 編集 | 返信

wax

>Ks02さん、コメントありがとうございます。
キャピキャピ感伝わりましたか(汗)
母へのメッセージうれしいです。
ありがとうございます☆

2008/04/09 (Wed) 16:30 | marianong #- | URL | 編集 | 返信

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